
優良賞
一般財団法人全国アミアップ統合医療支援機構
革新的アミノ酸技術で貢献する
“人づくり” のレジリエンス
医療・健康レジリエンスへ向けて、天然アミノ酸( アミアップ) をベースとした
産学官による最先端統合医療プロジェクト
生命維持に不可欠なアミノ酸。アミノ酸の製造には化学処理や熱処理が必要だったが、(一財)全国アミアップ統合医療
支援機構は非加熱で酵素のみで分解する技術を開発。“天然” のアミノ酸の普及拡大に向けた取り組みを紹介する。
生命の根幹となるアミノ酸を
もっと自然に、安全につくれるか?
人間の体を構成するたんぱく質。その原料となるのがアミノ酸だ。人体のたんぱく質は20種類のアミノ酸からつくられ、そのうちの9種類は体内で生成されないため、食事などで補わなければならない。
アミノ酸の摂取はバランスの良い食事が基本だが、消化吸収に時間がかかり、高齢者や療養中の人には負担が大きい。分解されたアミノ酸をそのまま摂取できれば素早く、かつ効率的に吸収できるが、ここで問題となるのがアミノ酸の抽出方法だ。
アミノ酸は、塩酸や熱で分解する方法や酵素や発酵を用いる方法など、さまざまな技術で抽出されている。その過程で遺伝子組み換え原料が用いられたり、発がん性の疑いがある物質が生成されたりすることが懸念されているのだ。例えば、たんぱく質を塩酸で加水分解してアミノ酸を製造する場合、副産物として3-MCPDや3-DCPが生成されてしまう。3-MCPDと3-DCPはどちらも発がん性や健康への影響が疑われており、特にEUでは厳しく規制されている。
また、酵素を用いる方法も、分解経路が複雑で反応条件を制御することが難しく、酵素の調達も容易でないことから、広く普及させるのが難しかった。
アミノ酸とは?

たんぱく質を構成する有機化合物。一般式はR-CH(NH2)-COOHで表される。人の体のたんぱく質は20種類のアミノ酸からできており、体内でつくられないアミノ酸は必須アミノ酸と呼ばれる。
酵素のみの革新的技術で
“天然”のアミノ酸の抽出に成功
より安全でコストパフォーマンスにも優れたアミノ酸をつくれないだろうか? その問いに挑んだのが(一財)全国アミアップ統合医療支援機構(以下、支援機構)だ。
試行錯誤を重ね、化学処理や熱処理を加えず、酵素だけで動物性たんぱく質からアミノ酸を抽出することに成功。酵素を使用するため製造単価が高くなるが、原料に鶏骨やそれに付随する肉を用いることで上がったコストをカバーし、費用面の課題を乗り越えた。コラーゲンがゼラチン化しない低温での抽出が可能なため、酵素の働きが損なわれないのも特徴だ。さらに、コラーゲンなどの基質たんぱく質と骨部においては加熱して鶏ガラエキスを得ることができ、原料の有効活用につながる。また、この技術を応用することでアミノ酸が2個以上結合したペプチドを抽出することも可能で、医薬品や化粧品など、さまざま分野での活用も視野に入るようになった。
化学処理や熱処理に頼らない、まさに自然なアミノ酸の抽出を実現させた支援機構の上田英二理事長は次のように語る。
「私たちの技術でつくられるアミノ酸は、薬品や熱に頼らないため、“天然”と言えます。健康に悪影響を与える副産物はつくらず、原料が安価で大量生産も可能で、応用範囲も広い。健康寿命を支える上で筋肉が重要視されており、たんぱく質やアミノ酸のニーズも高まっています。アミノ酸の力で人々の健康増進に貢献できると期待しています」
静岡県を拠点にアミノ酸で
産官学の連携を推進
安全で手頃な“天然”のアミノ酸は、さらなる新境地を開拓しようとしている。上田理事によれば、2025年7月現在、産官学の連携に向けた拠点を静岡県で進めている最中だと言う。
「当機構の技術を用いることで、高い熟成度や平均的な質量を持つ“天然”のアミノ酸を生成することができます。これを細胞研究や再生医療の研究に欠かせない培地の素材として活用できると考えています」と、静岡県の産官学連携構想について語る。
すでに静岡県と静岡市との協議により候補地選びが進められており、バイオインフォマティクス※1とウェット研究※2の両方で実績がある企業と業務提携で合意。研究機関として医療系大学が参画する予定で、静岡市内の4つの病院との連携協議も進められている。
「このプロジェクトは、静岡県を拠点に、官の強いサポートと世界との研究交流を通じて新しい医療モデルを提唱するもの。その一角に、培地のもととなるアミノ酸を提供して参画できるのは光栄なことです。培地の研究開発や細胞内のエネルギー代謝などのメカニズム解析に貢献してまいります」
アミノ酸というたんぱく質を構成する最小の物質から、大きなビジョンを描く上田理事長。アミノ酸が広げる産官学連携の可能性に夢を膨らませている。
※1 バイオインフォマティクス:DNA やRNA、たんぱく質などの生命情報を、コンピューターを用いて解析していく研究分野。
※2 ウェット研究:コンピューターによる解析ではなく、実際に人が介在して生物学的な実験を行うこと。
静岡県産官学連携プロジェクト

候補地(イメージ)

研究目的
➊細胞内のアミノ酸動態を詳細に解明することで、細胞がどのようにエネルギーを代謝し、生命を維持しているかを科学的に理解する
❷アミアップを用いた内在細胞プロセスの分析
❸薬品開発や健康補完に関する実践的学術戦略の創出
❹再生医療の普及に向けた基盤研究の推進
研究目的
1.土地取得
静岡市に新しい研究所および細胞培養ロボット工場を建設するための土地を取得。
2.建設計画
“天然”アミノ酸と新細胞培養技術を活用して細胞製品を製造する工場の設計および建設。
3.臨床実験施設の併設
研究所内に、“天然”アミノ酸と新しい細胞研究技術による効果を検証するための臨床実験施設を併設。
4.
静岡県立、静岡市内の4大病院と連携静岡県病院との連携により治験、臨床および治療を実施する。
5.運用開始
工場稼働後、製造した製品を研究機関や市場に供給する体制を確立。

理事長 上田 英ニ
静岡発の産官学連携構想は、地域医療を変え、再生医療の最先端を目指す、極めて先進的な取り組みです。そのような取り組みに当機構のア ミノ酸で貢献できることにワクワクしています。この国の医療と人々の健康の強靱化に役立つ、“人づくり”のレジリエンスにこれからも邁進してまいります。
一般財団法人 全国アミアップ統合医療支援機構
〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-8-3鉄鋼ビルディング4F
TEL: 03-6840-1451 https://www.amiupzaidan.com/