
準グランプリ・初代国土強靱化担当大臣賞
一般財団法人日本フューチャーレジリエンス機構
日本発の技術が切り拓く情報通信の
レジリエンス
テレビ電話システム「Waravi」 / セキュリティ特化通信アプリ「SecurityTalk」
テレビを通じた情報共有システム「Waravi」。日本発のセキュリティ技術による通信アプリ「SecurityTalk」。これら二つ
を通じて情報通信のレジリエンス向上に貢献する(一財)日本フューチャーレジリエンス機構の取り組みをご紹介する。
災害時の情報格差を
どう克服するべきか?
災害発生時に正確な情報をタイムリーに受け取ることは、暮らしだけでなく生命を守る上でも重要なこと。パソコンやスマートフォン、タブレットなどの個人用端末が普及したことでより多くの人が自治体などから発信される緊急情報を適時に受け取れるようになった。
その一方で、スマートフォンなどを持っていない人や、操作に不慣れな人には情報が届きづらい状況は変わっていない。特に高齢化が進む地域においては、災害時にその地域の状況に即した情報が伝わらず、避難の遅れや被害の拡 大が起こり得るリスクが残っている。
そうした状況を改善するため、年齢にかかわらず、また、スマートフォンなどを持っているかどうかに関係なく、より多くの人に適切な情報を適切なタイミングで届ける仕組みが考案された。それが、日本フューチャーレジリエンス機構が手掛ける「Waravi」だ。
スマートテレビ電話システム
「Waravi」とは?
「Waravi」は、一般的な家庭用テレビを「テレビ電話」として使えるようにするシステムだ。パソコンやスマートフォン
は苦手でも、テレビの操作には慣れている人が多い。情報伝達にテレビを活用するアイデアについて、日本フューチャーレジリエンス機構の山本 真大 代表理事は次のように答えている。
「当機構がある香川県は南部に讃岐山脈が連なり、小さな集落が点在しています。そこに住む人の大半が高齢者でスマートフォンを持っていない人がほとんど。その一方で、どの家にもテレビがあって、どんなときもテレビを視聴しています。これを情報伝達に使えないかと考えたのが、『Waravi』開発のきっかけでした」
「Waravi」は、テレビ電話として遠方の家族や知人とのコミュニケーションに使えるだけではない。地域の見守りや遠隔診療といった福祉・医療分野での活用が期待できるほか、万が一災害が起こって避難所に避難した場合は避難者の連絡・情報共有手段としても使用できる。また、「アラート通知機能(OP)」を活用し、自動的にテレビを起動して災害情報などの緊急性が高い情報を表示させることもできる。
「パソコンやスマートフォンがなくてもタイムリーに重要な情報を受け取ることができ、情報伝達のバリアフリー化に
つながります。いろいろな人の命を守るツールの一つとして『Waravi』の展開に力を入れていきます」と、山本代表理事は意気込みを語っている。
国土強靱化防災スティックデバイス

「Waravi」の普及・活用に向け、バッテリーおよびスピーカー内蔵のスティックデバイス(専用リモコン)を開発中。平時はテレビの音声出力用スピーカーとして、災害時には避難情報を音声で読み上げるアラートとして使用できるほか、安否情報を送信できる機能などを盛り込み、情報伝達手段のさらなるバリアフリー化に取り組んでいる。
外部への情報流出を防ぐ
高セキュリティ通信アプリ
「SecurityTalk」
「Waravi」とともに受賞の対象となったのがセキュリティ特化の通信アプリ「SecurityTalk」だ。前述の「Waravi」とこのアプリは、山本代表理事が社長を務める(株)グッドクリエイトが開発し、世界特許を取得した「@POP」というセキュリティ性が極めて高い技術が利用されたもの。
「SecurityTalk」は、「@POP」をベースに情報漏洩のリスクを限りなくゼロに低減。開発から運用まで、すべてが日
本国内で完結しているため、情報だけでなく政治経済、ひいては社会全体を守るプラットフォームとしても活用が期待できる。山本代表理事は「SecurityTalk」の価値について以下のように述べている。
「従来の通信アプリは、サーバー攻撃による情報漏洩のリスクが常にあるものでした。この問題を解決するため、ブロックチェーンを土台にした分散型インターネット、いわゆる『Web3.0』が進められています。
ただ、『Web3.0』は導入・運用が難しく、ランニングコストも膨大です。私たちの『@POP』はそうした『Web3.0』の課
題を解決する技術。暗号化された可変ブロックデータを時系列に並べる同期システムを活用した、分散型ネットワーク構築が可能です」
先進技術に裏打ちされた「SecurityTalk」の安全性は、機密保持が重要な団体・企業に高く評価され、多くの現場で導入されている。「病院や弁護士事務所など、プライバシーが重要な事業所はもちろん、要人対応や安全保障に関する分野でも安全な通信アプリが貢献できることは多い」と、山本代表理事は「SecurityTalk」の可能性を強調する。
セキュリティトークの特徴

●ユーザー登録不要で利用可能
●通信記録が残らないセキュアな通信アプリ
●音声通話・映像通話・チャット・複数人での通話が可能
●通話(通信)したい相手にアプリから発行された番号を伝えるだけ
●番号は1回限りの使い捨ても可能
●サーバーを介さない通信なので通話記録は一切残らない
●アプリ(端末)にも通信記録は残らない
●自身の情報をアプリ内で登録管理(サーバーに送信しない)
●Web版(PC)からスマートフォンやテレビにいたるまでシームレスに対応
●サーバーレスでメッセージを直接送信するため、メッセージ内容はサーバーに保存されない
日本発の技術で
国土強靱化に貢献する
平時でも、災害などの有事でも、情報伝達の安全性を保持しつつ、必要な情報を適切かつ適時に届ける仕組みづくりはレジリエンス向上に欠かせない。
しかし、通信アプリの多くが海外で開発されている状況では、万が一の際の情報伝達に支障が生じる可能性は拭い去れない。この点について、「海外サーバーから何十万件もの国内情報の流出があっても大きなニュースになりませんでした。こうした状況を変えるには、日本発の技術を大切に育てていくことが不可欠」と、日本発の意義を強調する山本代表理事。
「ライフラインがすべて止まったときのことまで想定してシミュレーションするのが大事。そのとき、自分たちにどのような動きができるのか…。『Waravi』と『SecurityTalk』を足掛かりに、レジリ エンス向上にさらに貢献できる方法を考えていきます」と、今後の抱負を語った。

代表理事 山本 真大
「誰一人取り残さない社会の実現」に向け、情報格差やセキュリティ格差を超えるテクノロジーを追求しています。その一環で開発した「Waravi」と「SecurityTalk」は「安心してつながれる社会インフラ」を目指したもの。私たちの世界特許技術を用いて、誰もが
安心して、かつ安全に情報を伝達・共有できる未来の創造に挑戦してまいります。
一般財団法人日本フューチャーレジリエンス機構
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