
優良賞
一般財団法人国際神社廳
歴史・文化の視点で活性化する
“地域づくり” のレジリエンス
昭和皇太神宮建立に伴う埼玉県寄居町活性化の『寄居レジリエンスプロジェクト』
人々が元気でいきいきとすれば、それだけで地域のレジリエンス(強靱化)につながる。地域づくりと人づくりの観点から、
埼玉県寄居町の活性化に取り組む(一財)国際神社廳の「寄居レジリエンスプロジェクト」をご紹介しよう。
地域の活力を守ることは
レジリエンスを高めること
内閣官房国土強靱化推進室によれば、「国土強靭化(レジリエンス)」の取り組みは、「強さ」と「しなやかさ」を持った安全・安心な国土・地域・経済社会の構築を目指す※こととされている。しかし、現在の日本において、地域社会のレジリエンスは困難に直面している。
原因の一つが少子高齢化の影響だ。高齢化が進むことで人口が減り、それとともに地域の経済が低迷。雇用の機会が減り、さらに労働人口の減少を招くという悪循環が進行している。また、人口が減れば、その分行政サービスも低下する。インフ ラの整備も滞り、老朽化が進んでしまう。さらに、地方の活力が衰えると、その地域の防災力・減災力だけでなく、アイデンティティの象徴となっていたコミュニティや文化、観光資源まで失われてしまう可能性がある。
一度失われてしまったアイデンティティを取り戻すのは非常に難しい。その意味で、国土強靭化と地域活性化、地域に根付いた文化の維持・醸成は切っても切れない関係にあると言える。
※「国土強靱化についてのご紹介」 内閣官房国土強靱化推進室
日本の人口の推移
日本の人口は2070年には総人口が9,000万人を割り込み、高齢化率は39%の水準になると推計されている。

出典:「人口の推移、人口構造の変化」 厚生労働省
寄居町を地域創生と
レジリエンスの拠点に
密接な関係にある地域活性化とレジリエンス向上を、文化振興の観点から推進しているのが(一財)国際神社廳(ちょう() 以下、国際神社庁)だ。
折しも、2025年は「昭和」の元号が制定されてから100年の節目となる年だ。国際神社庁は「昭和100年」を祝う記念事業として、埼玉県大里郡寄居町に「昭和皇太神宮」を創建する「昭和100年記念事業」を計画。「寄居レジリエンスプロジェクト」と銘打ち、計画の実現に向けた取り組みを進めている。
寄居町は1959年に昭和天皇・香淳皇后両陛下が訪れ植樹を行った“ゆかり”のある場所だ。秩父往還の宿場町として、あるいは鉢形城の城下町として栄えた歴史があり、現在でも国道や鉄道が行き交う交通の要衝地で、文化交流の交差点となっている。
「寄居レジリエンスプロジェクト」を進める国際神社庁の前野茂雄理事長は、「計画地の寄居町は『より・Eエコタウン推進のまち』を掲げ、農業とエネルギーの地産地消を目指しています。埼玉県が進める『埼玉版スーパー・シティプロジェクト』にもいち早くエントリーし、地域活性化に力を入れています。そのような自治体の理解と協力を得て私たちの『寄居レジリエンスプロジェクト』を進められることに感謝申し上げます」と、寄居町との協働に謝意を表す。
計画では、45万坪という広大な計画地に「昭和皇太神宮」の本殿や各種拝殿などを建立。さらに、地元ホテルを地域防災拠点として改装し、災害時のインフラストラクチャー維持に活用する方針だ。「寄居町にすでにある資源を活用することで雇用を創出し、さらにふるさと納税などの協力を民間・企業に幅広く呼び掛け、産業の回復、地域振興、ひいては人口増加や文化再興を含む地方創生に寄与できます」と、前野理事長は「寄居レジリエンスプロジェクト」の意義を語る。
寄居レジリエンスプロジェクト(昭和100 年記念事業計画)
概要
候補地
●目的
昭和神社(仮称 昭和皇太神宮)創建
●建立地
埼玉県寄居町(約150万㎡/約45万坪)
●建立計画
・昭和神社・大正神社本殿および拝殿
(九福神(元福神))
・宝物殿、社務所、受付所など七つの社、会館、売店など
・表参道ほか、各種参道の整備
・スリランカ仏舎利塔
・平和神社
・庵殿
・鳥居、石塔
・各種石像、石畳、手水舎など
●予算
2,000億円





